「何で気付かなかったんだろう…」





あたしは指で少しなぞって。


涙を手でごしごし拭った。


十夜だもん。


十夜が悪いんだもん。


こんな可愛いこと、


してくる十夜が。


悪いんだから…。







「やばい!出来た!」





テストが終わり、放課後。


恵衣はぴょんぴょんと跳ねて、


あたしに飛びついてくる。


その様子を鬱陶しそうに


見つめる麗華。






「本当恵衣は単純っていうか、なんていうか」





「喜ぶでしょ!だってこの後、パーティーだよ?」





あたしと麗華は顔を見合わせて、


はぁと溜め息。


はしゃぐ恵衣を見て、


言葉を失う。


ま、喜ぶのも無理はないけど。


あたしたち3人は、


この後、裕大先輩を除いた


3人とパーティーをすることに。


テストお疲れ会と、


クリスマスパーティーを


一緒にやるらしく。





「ちゃんと着替え、持って来た?」





「持って来たって。もう、恵衣うるっさい」





はしゃぐ恵衣を一喝する麗華。


あたしは2人を見て、思わず笑う。






「朱里!」





教室の外には、もう3人の姿があって。


あたしたちは急いで帰る支度を済ませ、


廊下に出た。






「出来た?テスト」





「うーん、まぁまぁかなって感じです」




自然と恵衣は真太先輩と並び、


ならばと麗華も健先輩と並び。


当たり前のように、


あたしの隣には、諒司先輩。





「今日はどこ行くんですか?」




「内緒。でももう予約済み」





よ、予約って。


高いお店のイメージなんだけど。


諒司先輩は終始笑ってて、


つられてあたしも笑う。


この笑顔にあたしは元気をもらってて、


毎日毎日楽しくて。