「ごめーん、遅れた!」
後夜祭も終わって、
みんなそれぞれ帰って行って。
近くの公園で待ち合わせた俺と里菜。
「悪いな、こんな遅くに」
最後だけは、って。
甘いな俺。
「どうしたの?」
「言わなきゃいけないことがある」
言いたいことが伝わったのか、
少し空気が変わる。
「何?」
「俺たちもう無理だと思う」
「十夜…何、言ってるの?」
こんなに寂しそうな声を
している里菜なのに。
何も響かなくて。
「やっぱりお前を好きになれない」
「もうこんなに付き合ってるのに?少しもだめなの?」
俺は黙って頷く。
人並みに悪いとは思う。
けど、どうしようとも思えなくて。
「あたしは、すごく十夜が好きだよ?」
「ごめんな」
「やだよ!やだ!別れたくない!」
必死にしがみついて来る
里菜を、俺は必死に離す。
触れられることに、
少しの嫌悪感。
「もう里菜とは呼べないし、一緒にいられない」
「何で?何でなの?」
そりゃ、里菜からしたら、
何で?ってなるんだろうな。
「ごめん。何も言えない」
「高原さんなの?やっぱり高原さんがっ…」
「里菜、もういいだろ」
お前が朱里を、
敵として見るのは勝手だけど。
俺はあいつ以上に、
お前を見れないし、
考えられない。