雨のち晴





小さくなっていく朱里を


最後まで見終えると。





「終わってから、話せる?」





『十夜…どうしたの?』




「後で、話すから」





そう言って、電話を切った。


もう終わろう。


どうなっても、もういい。


きちんと、けじめつけたい。


知らない間に、教室には


誰もいなくなって。






「あいつら片付けどうすんだよ」






チョコもバナナも出しっぱなし。


包丁もまな板も洗ってなくて。


何でこのクラスのやつらは、


適当な奴らばっかなんだよ。





「仕方ねーな、ったく」





出しっぱなしのバナナを、


ビニール袋にしまう。


すると、そこに。






「ちょっと、お邪魔します」





「あ…どうも」






丘谷の姿が、あった。


思わず面喰って、固まる俺。


何、何でいるんだよ。






「あの、何すか?」




「だよな、ごめん。ちょっと、話いいかな?」





入口に立っている丘谷は、


中に入ると、適当なイスに


座って、息をふぅーと吐いた。






「朱里のことなんだけど」





「は?」





朱里の名前が聞こえてきて、


驚いてバナナを床に落とす。


あーあ、なんて言いながら、


気を紛らわす。





「こんな話するの、おこがましいんだけど」





上手く息が出来ない。


何を言われるか、怖い。