雨のち晴






自分にケジメを付けて、月日が流れて。


話す機会がなくて、もう10月。


あー、変わんねえ関係性。


未だにまだ俺は、


里菜の彼氏やって。


密かに朱里を想ってて。


何やってんだか。




「待っててね?」





里菜と玄関に向かって。


あ、教室に忘れ物と思い出して。


それを告げると、


トイレに行きたいから


待っててと言われる俺。


ふざけんな、何で俺が


お前のために待たなきゃなんねーの。


俺は無視して教室に向かう。


あーあ、朱里に会いてえな。


そう思っていた時。


足音が聞こえて、そこにいたのが


朱里で。





「あ、十夜。まだいたの?」




「お前こそ、何してんの?」




「今日日直でさ。日誌書き忘れちゃって」





愛おしくて、頬が緩む。


てか、朱里がそういうの忘れるとか。




「お前が忘れるとか珍しいな」



うん、やっぱり珍しい。


そういう所はきちんとしてるのに。






「そうなの。いつも忘れないのに」




「少しは否定しろって」





この会話の感じが嬉しくて。


楽しくて、たまんなくて。


どうしようもない俺。






「十夜も珍しいね、1人だなんて」




「あ…まぁ、な」





言葉を濁す俺。


1人だなんて珍しいねって言われて。


あいつとセットで考えられてることが、


悲しくて嫌で。


でも本当はあいつもいるんだよ、って


思いながら、消えねえかなって


思っている最低な俺。


そこにタイミングを見計らって、


現れた里菜。





「高原さんもいたんだね」





また、朱里を敵対視。


悪いけど、言葉には出さないけど。


お前、敵にもなってないから。





「里菜ちゃんも残ってたんだね」





ちょっとムキになる朱里を見て。


かっさらいたいと思って、


体がうずく。