何てザマなんだ、俺は。
最後に当たった朱里とのクラスで。
ベンチにいる朱里の姿に
気が散って。
テンパってからまわって、
気付けば負けていて。
あー、優勝したら
おめでとうって言ってくれたかなとか。
そんなことを考えて、
また一段落ち込んだ。
試合が終わって、
することがなくなった俺は
ギャラリーに行く。
1人ポツンと飯を食う朱里を発見して。
珍しいなと近付く。
鏡を見ている朱里を見て、
そういえばさっき顔面に
ボール当たってたっけ。
なんて思って。
「見てた」
そう声をかけた。
「十夜っ、いつから…っ」
「今来た所」
どんだけ驚いてんだよ。
俺はそう思いながら、
隣に腰をかける。
「お前って抜けてるよな」
あ、っと思いついて。
さっき自販機で買った
冷えたペットボトルを手に取って。
「ドジっていうか、なんていうか」
とか何とか言って、
朱里の頬に当てた。
冷やされて、気持ちいいのか
動かない朱里に。
「1つ聞いていい?」
俺は口を開いた。
聞きたくない。
聞いたらおしまい。
でも聞きたい。
そんな葛藤の末。
「朱里、諒司先輩と仲良かった?」
そういえばさっき、
そう呼んでたな。
そう思って、また嫌味を込めて
わざとそうやって聞いた。
「な、仲良くなんかない!勝手に話してくるだけ!本当それだけっ!」
驚きながらも、
目一杯否定してくる感じが。
やっぱりよくて。
思わず、よかったって。
そう言ってて。
「え?」
何でもないと。
言う他なくて。
仲良くないと言う、
こいつを信じたくて。



