雨のち晴





気付けばテスト目前で。


結構俺焦ってて。


だって苦手な英語のノート、


寝すぎて取れてなくて。


全部ミミズが這ってるみたいな。


そんな仕上がりで。


どうしよう。


そう焦ってた時。


…朱里。


そう頭に出たのは、


ほんの数秒で。


家に帰ってもう寝る間際。


久々に、画面に朱里の名前を出して。


1回、2回、とコール音を聞く。






『もしもし』




受話器の向こうで聞こえた、


朱里の声が。


俺をくすぐる。


何してたんだろうとか。


当初の目的を忘れる。






「朱里のクラス、明日で英語のテスト終わるだろ?」





『うん…、終わるけど?』





「俺ら明後日なんだけど、授業中寝ててノート取ってなくて。貸してくれ」





懇願。


仕方ねえ。


俺のこの先がかかってる。


いいよ、と言う朱里。


俺はその一言で、


そういや1年の時もノート


借りたなって。


ふと思い出して。


そしたら何か安心して。


あくびが出た。







「眠いの?」





そんな俺を察してか、


ぽつりと呟く朱里。




『いや、今まで爆睡してたから。さすがにテスト前なのに、勉強しねえわけにはな』





そう、俺さっきまで寝てたから。


俺っていつもそうで。


テストって分かってても、


睡魔には勝てなくて。


でも結局起きて一応勉強する。


いいことなのか、悪いことなのか


微妙なとこだけど。


でも、まあ机に向かってて。