「とお…や…っ」
保健室に入ると、
俺が来たことに驚いてる朱里。
「何、してんだお前」
いることを知っていた俺は、
驚く素振りも見せず、
淡々と言葉を紡ぐ。
しまった。
俺も驚けばよかったかな。
「え、ちょ…っとお腹が痛くて…」
「ふーん…」
にしては、元気なやつ。
だってさっき、
笑ってたろ?
何て思って、またにやり。
「十夜こそ、何した…」
「怪我。つっても、大した事ねぇ」
俺は騒ぎ立てる気持ちが、
前に出て、
朱里の言葉に被せるように
返事をする。
朱里を見ると、俺の肘を見て
驚いた顔。
「ちょ…、血!血!」
騒ぐ朱里。
「うるせぇ、朱里。ガキか、お前は」
何て言いつつも。
可愛いなんて、思う俺。
俺に言われて、口を両手で塞ぐのを見て、
今すぐその手をひっぺらがして、
キスしてえと思う、変態な自分に、
笑いがこぼれる。
「フジ子は?」
「フジ子ちゃん、仕事だって…出てっちゃった」
は、さっきまでいたのに。
本当使えねえ保健医だこと。