「ちょっとここで待ってて」
俺は里菜にそう言うと、
隣のクラスに入って行く。
ここは里菜のクラスでもあるけど、
まあそこはおいといて。
「おい」
楽しそうに話している朱里を見て。
俺は声をかける。
朱里の後ろに立つと、
驚いて後ろを振り向くこいつ。
そしてちらっと入口の方を
見ている。
里菜のこと、
気にしてんのかななんて
考えながらも、知らんぷり。
「え…何?」
「やるよ」
俺は、結構恥ずかしくて。
照れ隠しのために、
朱里のために買った飲み物を
頭の上に置いた。
本当何やってんだ、俺。
なんて思いながらも、
仕方ないと自分を肯定。
頭の上に置いたそれを、
朱里がつかんだのを見ると。
「じゃあな」
それだけ言って、
教室を出た。
里菜は不安そうにこっちを見てるけど。
俺はそんなの少しも気にならなくて。
気になるのは、朱里がどんな顔で
俺の背中を見ているのか、とか。
そんなことばかり。



