それから2人で立ち上がって、


玄関を出た。


外では担任はまだかまだかと


あたしを待っていて、


紙を渡すと、遅いと言われた。




「じゃあもうあたしに頼まないでくださいね。迷惑だから」




そう強めに言うと、


担任は態度を変え、


へこへこ頭を下げて見せた。





「ごめん、遅くなって」




恵衣たちを探して、


みんなの所に行く。


はい、とあたしの分まで


買ってきてくれた飲み物をもらう。


あたしの顔にはもう、


笑みが戻っていた。


後夜祭はすごく楽しくて、


あっという間に終わってしまった。


結局ビンゴは参加賞のうまい棒1本。


あたしはもらってすぐ口にして、


ゴミをゴミ箱に捨てた。




「ごめん、送ってやれなくて」




「いいですって。ほら、先輩たち待ってますよ?」




諒司先輩のクラスは打ち上げに


行くらしく、学級委員長が


来なくてどうする、と


強制参加させられることに。





「また帰ったら連絡する」




「分かりましたって。さっきからそればっかり」




くすくす笑ってみせると。


諒司先輩は急にあたしの頭を撫でて。





「離れたくねーんだけど」





そんな可愛いことを言う。





「そんなこと言わないで。最後なんだから、打ち上げ楽しんで来て下さいね」




ただの先輩から、


彼氏という存在になったからかな。


あたしも離れるのが、


寂しく感じる。





「諒司、お前女とイチャイチャしてんなって。羨ましいぞ、こら」





クラスの先輩に引きずるように


連れて行かれる諒司先輩。


抵抗も虚しく、声を荒げて


暗闇に消えて行った。