冷やりとした風が心地よい季節。 日没は次第に早くなっている。 今日は歩いて帰ろう。 突如浮かんだ考えに、 礼(れい)は従った。 いつものことだ。 感のようなものに 突き動かされる。 それは、いつだって正しいと礼は考えていた。 ―みんなもっと私を信じるべきだわ。 誰もわかってない。 本当は凄い人間なのに。 まぁ、あの人たちじゃ私を理解できないんでしょうけど。 大学の帰り道を、長い黒髪を揺らしながら歩いた。