闇に月はない。 東苑は回廊を急いでいた。 ―お前の息子が、ちゃんと見つけおったぞ。 年を思わせないシャンとした背筋のまま超高速で歩く姿に、兵たちは振り返る。 今日は、一体全体何事が起こっているのだろう。 「退きたまえ~!」 別方向からも声がする。 ドタドタと走ってきたのは金大好である。 お腹をたぷたぷ揺らしながら、呼吸を乱して走り去っていった。 「祝融様!」 東苑は勢いよく扉を開けた。