「あのさ。 状況を理解できないのは俺が馬鹿だからか?」 獅子が頭を掻きながら言った。 平当もはっと我に返る。 ぼさっとしている場合ではない。 いつの間にか、雉院の身体を宋春が抱いていた。 「宋春、お前ずっとここにいたのか?」 応えはない。 放心した目からは、当て所もなく涙が溢れ出ていた。 「王も、もう…」 二人を見た医者が目を瞑った。 何が言いたいのかわかった。 何ということだろう。 王が死んだのだ。