―――新月当日。 礼は、朝からそわそわしていた。 身軽な服に身を包んで、部屋を行ったり来たりしている。 ときどき光燐が様子を窺いに来るが、彩夏の姿は見ていない。 ―今は、私の身体を守ること。 そう言い聞かせて、飛燕の声を待った。 夕刻になって、その時は訪れた。 「待ってたわ。」 『外へ。 私が誘導します。』 礼は、何も疑いことなく扉を開けた。 衛兵たちの姿がない。