─翌日。 「思いがする」という礼独自の現象は、本当に起きなかった。 そして同じ刻、同じ場所に、宋春の姿はあった。 礼は付き人を置いて向かった。 雉雀とそれなりの話をするには、一人の方がよいと思ったからだ。 いきなり襲われることも考えにくい。 回廊を歩く間、礼は男を観察した。 美しい顔は、何も語ることなくただ仕事をこなす。 雉雀の純過ぎるほどの部下だ。