コンプレックスを指摘されて簡単に許してくれるほど、彼女は大人ではない。

許してもらえたとしても、自分が納得できない。


「どこに泊まろっかな…」

そんなことを呟きながら街をふらついていると、彼の目にあるものが留まった。


いつもなら絶対に素通りする店だった。

だってそこはとてもきらびやかで目がチカチカして、苦手な場所だったから。


けれど、そんなことも関係ないぐらい見入ってしまった。


指輪、だった。
小さくて細い彼女の指にとても似合いそうな指輪。

彼女も派手な装飾は好きではないけれど、きっとこれなら喜んでくれるだろう。

それを見た瞬間、長い間漠然と抱いてきた想いがはっきりと形を持つ。


羽美と、生涯共にいたい。