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付き合い始めたのは、海の蒼がよく似合う暑い日だった。
「羽美」
「なぁに?」
買い物をしたいから付いてきてくれと言われ、休日を共に過ごした。
けれど彼は特に何を買うでもなくぶらぶらするばかり。
不思議に思い始めた頃に言われた言葉だった。
「付き合おうよ」
木陰になっていて涼しいベンチで、肩に熱い重みが加わる。
「俺、羽美のこと好きなんだ」
掠れた声でささやくように呟かれれば、頷く他なかった。
もともと羽美も海月が好きだった。
でなければいくら友人でも、休日を異性と一緒に過ごそうなんて思わない。
「私も」
好き、という言葉は海の底より深い心の奥に沈めたまま、両想いということになった。
セミの鳴き声が冷やかしのように聞こえたのは、きっと気のせいだ。


