「うまく書けない…」
送り先もわからないのに彼に宛てて書いた手紙は、便せんの中に取りとめのない文字を並べただけのものになっていた。
こんなことが書きたかったんじゃないのに。
そもそもどうして彼は出ていったんだろう。
私のことが嫌になったんだろうか。
「まぁ、普通はそう考えるよねぇ」
マグカップに入った紅茶をすすりながら呟く。
羽美の声は狭い室内の隅々まで届ききらないうちに、切なく消えた。
いつも失敗ばかりしていた自分。
マイペースで楽天家のように見えて意外としっかりしていた彼。
何度自分の失敗を補ってもらったかわからない。
あの笑顔に、いつも救われていた。


