逃げていれば何か変わっただろうか。
逃げていれば幸せになれただろうか。
幾度となく考えたことはあるけれど、辿り着く答えはいつも一緒だった。
海月を忘れるなんて無理だ。
きっと他の人と付き合っても、自分は海月のことを思い出す。
それぐらい彼の存在は彼女の中に深く根を張っていた。
海月と書いてクラゲと読む。
いつだったか海月の名前を褒めた時、彼が恥ずかしそうに口にした言葉だ。
それを知ってからクラゲが大好きになったのは言うまでも無い。
海は空に浮かぶ月に恋焦がれる。
クラゲは海の中でなければ生きられない。
心の底から互いを必要とした。
こんな恋は初めてだった。


