彼女は人間管理人。

 担任は終礼に来ない。

 担任は今頃他の教室で古文について語っているのだろうから。  



 担任の姿を拝めるのは滅多に無い(別に拝みたくはない)。


 朝も僕らは『普通の連中』と違って、遅れて登校してくる。

 その時間、担任は漢詩について他のクラスで語っているだろう。



 それが、僕らにとって『通常』だった。



「恭、今日の世界史のノート見せてくれない?」

「わりぃ、真っ白だ!」


「……良いよ、別に期待していなかったから」



 帰る準備は万全だ。僕は薄っぺらい鞄を肩にかけた。