咲弥side


美紅が立ち上がり、メモ帳とシャーペンを取りに行った。



『あいつ…』



あいつがいた場所には、ブラウニーとマドレーヌがきれいに並んである。

1つ1つ一生懸命作ってあるのがわかる。

見ないうちにだいぶ料理上手くなったんだな。



『さぁ始めるか…』



そう言って立ち上がり、腕捲りをした。

立ち上がって1番にあいつを探してしまう。

美紅の髪が風に揺れて、なびいている。

聞き間違えたのか、消しゴムで消し、テンパっている。



『ふっ』



笑える。


俺、美紅が好きだ。


危なっかしい所


よく笑う所


子供みたいな所…



美紅の全てが好きだ。



いつも、あいつ呼ばわりしてしまう。

なかなかちゃんと美紅と言えない。

いや、しっかり美紅って呼べるようにする。



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