キマイラ




「夏休みの勉強とかどうするの?」

『…………学校』

「え?」

『先生から呼び出しがあった……』

「……」



いつも寝ている愛澤さんの成績が悪いことは知っていたけど、呼び出しって……。



「課外とかじゃなくて?」

『課外のレベルじゃないって』

「……」



愛澤さん平然としてるけど、それって卒業も危ないんじゃないんですか?
大丈夫なの?



「夏休み中はずっと学校?」



愛澤さんは食べ終わった弁当をしまいながらコクリと頷いた。

でも、それなら勉強を誘う必要はない。
俺が学校へ行けばいい。
夏休み毎日課外受けよう……。
帰りとかお昼に愛澤さんに会えるかもしれない。

俺が心の中でガッツポーズしたところで目の前のドアが開いた。

早瀬だ。


早瀬は不機嫌そうな顔して入ってきて、片手に一枚の紙を持っている。



「なんだ?その紙?」



俺がそう聞くと早瀬は紙を愛澤さんの机に置いた。
空いてる椅子を借りて愛澤さんの机の前に座る。
俺はちょうど愛澤さんの隣に席を借りてたので、机の紙を覗き込んだ。