学校もあと僅か。
夏休みがもうすぐだって言うのに、俺はまだ愛澤さんに夏休み中に会えないかという話を持ち出せていない。
愛澤さんに会う理由がないのだ。
会いたいって思っているのは俺で、愛澤さんはそう思っていないだろう。
一緒に勉強しよう?
これしか会う約束を考えられなかった。
そして昼休み、俺はこの誘いを上手く切り出すタイミングを見計らっていた。
できれば早瀬が来ないうちに!
「愛澤さん、夏休みはどうするの?」
『受験勉強』
俺ら受験生だもんね……。
それが普通だよな。
俺が変なんだよな。
「愛澤さん進路決まってるんだ」
『決まってる』
「どこ?大学?専門学校?」
『言えない』
愛澤さんは弁当を食べながら言う。
愛澤さんどこ進むんだろ……。
俺もそこ行きたいなー。
言えないと言われてしまったら深く追求できないので悔しい。



