早瀬は足が速いことは知っていた。
けど、愛澤さんに追いつけなかったのはどういうことだ?
例え二人が出て行ってから5秒くらいして俺が二人を追いかけても、校門までに愛澤さんには追いつくと思っていた。
なのに俺が愛澤さんに追いついたのは愛澤さんが靴を履き換えるところだった。
早瀬はもう校門のところに立っている。
遠いから見えにくいけど、たぶん上履きのままだな……。
『寅沢くん……ついてきたの?』
「愛澤さん足速いね……」
『え!?あ、まぁ、必死だったから……』
必死になるほどの人なのか海璃っていう人は。
心の中でムカつきながら俺も靴を外履きに履き換えた。
愛澤さんは何に動揺してるのか知らないが、外履きを持ったまま突っ立っている。



