キマイラ




『校門に行く理由を述べよ』



そして恐い顔と低い声で早瀬に言った。
俺だったらビビる。
けど早瀬にそれは通じず、早瀬はイライラしたように頭を掻きむしった。



「うぜェェ!!うぜえよお前!!……ったく!こう言えばいいのか!?
海璃がお前じゃないと渡してくれないんだよ!!」

『……』



ん?
……かいり?
海璃って誰だ?

聞いたことのない名前が突然出てきてわけのわからない状態。
愛澤さんを見ると、驚いた顔してすぐにケータイを取り出し電源を入れてる。

今どうでもいい話だけど、愛澤さんのケータイ、黒のそれなりに新しい機種だ……カッコイイな。

話の流れからして愛澤さんはたぶんケータイのメールを見てるんだと思う。
そして確認し終えて、ケータイをかばんにしまうと早瀬を睨んだ。



『なんでもっと早く言ってくれなかったの!?』

「俺は言ってただろ!!」

『海璃が来てるなんて聞いてない!ずっと一日で一番暑くなる時間、校門で待ってたことになるじゃない!』

「知るかァ!どうでもいいから早く行くぞ!昼休み終わるだろ!!」

『言われなくても行くよ!!』