「答辞。卒業生代表、松田由紀。」


「はい。」






凛とした声が体育館に響く。

一部の保護者がざわざわとしたけれども、それも松田が話始める頃には収まっていた。








松田の答辞の声を聞きながら、私は思い出す。




最初に会ったのは、たまたま道端で。
ただの腹立つ奴で、もう会わないと思っていたのに、その日の夜、また再開してしまった。



それからは婚約者として嫌々ながらも過ごしてきて、はじめは本当に嫌だった婚約も良いかな、って思うようにもなって。

婚約破棄とかっていうこともあったけれど、それをきっかけに両想いになって。






懐かしさで涙が頬を伝ったとき、館内には拍手の音が鳴り響いた。











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