≫由紀



いつからだろうか。

あの、嫌いだと思っていたあいつを目で追いだしたのは。









俺がそれを自覚したのは、あいつが学校でイジメにあったとき。




イジメられてるっていうのに、それを俺や荒川に言わず、隠そうとまでしていた。
なんとなく様子がおかしかった…けど、荒川に聞くまで全く分からなかった。





それから犯人を探しだすと現れたのは同じクラスの女で、俺のことが好きで、あいつに嫉妬したらしい。



父親がマスコミ関係のおえらい立場にいるとかで、あいつをストーカーから助けたのが俺だって分かって、感情が抑え切れなかった。
テレビに松田くんを映して世間に松田くんが知られる嫌だったから、父親に頼んで情報を操作して貰った。



と、泣いて弁解してきた。





……馬鹿らしい。

そして、守れなかった自分が悔しかった。









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