「おまえ、馬鹿か?」




私を連れて出た松田は、パーティー会場から出てそうそうに言った。


「なんで!?」




「あんなよく分からないお坊ちゃんに付き合ってたら、丸め込まれるのが落ちだろ。」





「ちょっと、そんな言い方しなくてもいいんじゃないの!?」


水野さんはいい人だと思うし!




そう食ってかかると、松田は口をむっとさせた。



「……とにかく、俺はああいうお金持ちの坊ちゃん嫌いだから、お前もあいつに近付くな。」


「強制される意味がわからない!…それに言われなくてももう会う機会なんてそうそうないから!」



「あー、そうか、そりゃよかった。」





喧嘩ごしになる私たち。

いや、うん。
こんな喧嘩がしたかった訳じゃなかったんだけれど…

最初に会ったときのようにわがままで、冷たい目で私を見る松田は、背を向け、振り返らずに歩いていった。



私の頬には、抑え切れなかった涙が伝う。










そしてその日から、私たちは口をきくことがなかった。




.