なにも見えない。


というより、見るという機能を持つ器官は存在していようがいまいが、関係なかった。



五感が意味を持たない、意識の次元だけでの会話。



もちろん紅炎は初めての体験だったが、意思疎通に苦労はしなかった。



「私はこの世界の均衡を司る者……あなた方ひとの概念に当てはめるとすれば、神という存在が一番近いのではないでしょうか。アーネットといいます」



アーネットが微笑んでいるのがわかった。