埃っぽい蔵のなかで、紅炎は探し物をしていた。


赤ん坊の頃に両親を亡くしている彼を、親代わりに育ててくれた祖母が他界した。


彼女の遺言で、代々家に受け継がれている石を蔵から探し出すのが目的だった。


片っ端から石が入っていそうなおおきさの箱を確かめていった。


「……あった。これだ。ただの石とは聞いていたけど、本当にただの石じゃないか」


埃を被った小さな箱に納められているのを見つけた。


宝石のような輝きはないので気軽に触れると、突然紅炎の視界は赤く染まった。