「えっこ元気ないけど…大丈夫?」
「うん。」
「嘘言わないで。言ってごらん?」
「実はね、彼氏…優って今あたしと付き合ってるじゃん?」
「うん。」
「昨日の帰り道にね、優の元カノに会ったの。すっごく可愛い、お人形みたいな。その時の優の顔が、苦しそうで、悲しそうで、けど嬉しそうな顔してた。元カノがあたしを見て、彼女かって聞いたの。そしたら優…違うって言ったの。あたしのこと、絵梨子じゃなくって、…井上さんって呼んだ。元カノのほうについて行ったの。きっと優は…あたしと別れると思う。怖いの…。」
「そうなんだ…。辛いね…。でも、えっこ?ずっとこのままだったら、えっこはもっと苦しくなるよ?ちゃんと話したほうがいいんじゃないかな?…ほら、行っておいで。」
そう言って梨花は指をさす。
その先には…
「優…。…ちょっと行ってくるね。」
「頑張って。」
梨花、ありがとう。
あたしは…ちゃんと受け入れる。
「話って…なに?」
『屋上いこ?』
「ん。」
あたし達は少しの距離をおきながら屋上に向かった。
この距離が…とっても悲しい。