side紫音


『真由香…』
「紫音、久しぶりだね」
『…あぁ』
どうして真由香に会うんだよ…。
絵梨子を好きなのに…。
どうしてこんなにもドキドキしてるんだよ…。
隣には不安な顔を浮かべている絵梨子。
大丈夫だよ絵梨子。
俺はきっと…君から離れたりしない。
「元気だった?」
『うん。そっちは?彼氏とはどうなの?』
「元気。…別れたよ」
ドクンと弾む俺の心臓。
なんでこんな…嬉しいんだよ俺は。
俺は真由香に裏切られたんだぞ??
傷付けられたんだぞ??
なのに…どうして!
「その子…新しい彼女?」
うん。たったの2文字なのに…
『違うよ。ただの友達』
どうして俺はこう答えたんだろう…。
俺はなんてバカだったんだろう。
誰か俺のこのどうしようもない口を縫い付けてくれ…。
どうしようもないバカな俺を…傷付けてくれ…。