新しい事実とともに、頭の片隅にあったモヤモヤがまた出てくる。 "俺の良いところは何だ"という疑問。 大好きな日本史の授業も、今は頭に入らない。 あまりにもモヤモヤしたから、休み時間に玲王に聞いた。 「凌の良いところ?」 「ん」と机に突っ伏したまま言った。 雑誌を読んでいた玲王は、早口に答えた。 「面倒見が良いところ」 「面倒見?」 「そ。口うるさいかーちゃんみたいで」 「おいこら」 適当に答える玲王のせいで、モヤモヤは消えなかった。