曲がり角に差し掛かったときに、向こうから歩いて来た人とぶつかった。 「キャッ......」 辞書が辺りに散乱する。 ぶつかったことに少し恥ずかしさを感じ、すぐに辞書を拾う。 5冊あるうちの4冊は拾った。 残り1冊は......どこ? 周辺を見渡すが、見あたらない。 すると、私の顔の前に辞書が差し出された。 「これ?」 優しく微笑んで差し出す彼。 この人は――― 「凌...」