上から降ってきた、優しくて甘い声。
微かに差し込む太陽の光で、声の主の髪色が明らかになる。
相変わらず、無造作にはねた猫っ毛。
あたしが落ち着いたのがわかったのか、彼はあたしの口から手を離した。
「―――――あおいくん!」
体勢を変えて向き合うと、彼はクスッと笑った。
「久しぶりだね、楓。
こんな状態で外に出るなんて、楓らしいや」
芸能界を引退し、華道の世界に入った彼とはあまり接点がなかった。
安心させる笑顔は変わらない。
「みんな中にいるよ。一緒に行こう」
みんなって...。
「でも、入れない...」
「? あー、だいじょうぶだいじょうぶ」
にこっと微笑むと、彼はあたしの手を引いた。

