そして、CM撮影は終了し解散する。
「楓、帰るぞ」
メイクも落として、服も着替え終えた玲王が声を掛けた。
「......うん...」
さっきの撮影を見ていて、釣り合ってないと感じたから返事する気がなかった。
すれ違ったとき、私の手首を玲王が掴んだ。
ドキッとする胸。
「......何かあったか?」
心配そうに見つめる玲王。
「ううんッ......」
反射的に首を横に振る。
なぜか、知られるのはイヤだったから言わなかった。
「そうか」
納得したようで、手首を離した。
また......ウソついちゃった......。
ちゃんと話さなきゃって思っているのに、喉で言葉が支えちゃうんだよね。
玲王が私の話を聞いて、呆れちゃうんじゃないかって。
そうなるのが一番怖い。

