流石人気の百貨店......
見渡す限り、人人人人......。
エスカレーターすら乗れないんですけどぉぉ!!
ハァと落胆していると。
「きゃっ......」
「あっ、ごめんごめん......ケガしてない?」
ドンッとぶつかってしまった。
慌てて謝る彼を、俯いていた顔を素早く上げて見る。
あれ...?
この少しハネた栗色の髪、サングラスしてるけど微かに見える二重瞼の瞳。
「あおいくっ―――」
言い終える途中で口を押さえられる。
「しーっ、しーっ、大声で言うなって! バレたらヤバイだろ?!」
もう片方の手の人差し指を口につけている。
少し驚いたから、勢いよく頷いた。

