そんな楓に軽くムカついたから。
「俺を可愛いとか、良い度胸してんな?」
クイッと口角をあげて言った。
「散々扱き使ってるんだから、これぐらいは良いでしょ~?」
言われ慣れてるかのようにスルーして、帰る準備をする。
だから。
「キャッ......」
「へぇ、無視するんだ?」
バッグを持とうとしていた手を掴み、こっちを向かせる。
そして、顔を近づける。
「ぇ、ちょ、と...」
段々楓との距離が縮まる。
楓の両手首を掴んでいるから逃げられない。
逃げ出す気配は......無い?
楓との距離は目と鼻の先。

