「はい、これ第一話の台本です。次回の撮影のときにお忘れ無く」
スタッフに台本を貰う。
「台本ってこんな感じなんだねっ! 凄いなぁ~」
珍しそうに台本をパラパラと捲る。
"大スキ"ってファンとしてかもしれないけど、苦しい。
こんな気持ちのまま撮影したくない。
葵に会いたくない。
そう考えていると。
「なぁ、これから暇?」
葵が尋ねてきた。
"行きたくない"そう言えば良かったのかもしれない。
でも、こいつの何かが分かるかもと狡い気持ちが浮かんだ。
「あぁ」
「じゃぁ、どこか行かねぇ?」
葵に誘われスタジオを出た。

