「元気良いねぇ、お嬢ちゃん♪ あの玲王を突き飛ばすとは......」
いつの間にか、私の隣にいて肩を組むおじさん。
お酒臭いから、近寄らないで欲しいのに~。
「哲さん、楓が嫌がってるから放して」
私より少し身長が高い彼が言った。
「なんだよ郁斗ー、白けんだろー?」
可愛い顔に似合わず、口が悪い郁斗。
でも、根は優しくて、仲間を大切にする良い子なんだよね。
今も、私を助けてくれた。
おじさんと離れ、郁斗に小声で言う。
「あのお酒臭いおじさん、誰?」
「は...、お前知らないの?」
こいつ馬鹿?
というような顔つきで見る。
誰かのお父さん?
そう思うくらい、誰だか分からない。

