桜の木の下。 ヒラヒラなびく白衣。 暗い茶色の髪。 何も変わらないままの風景が、 ここにはある。 「卒業、おめでとう」 「ありがとうございます」 「今年もよく咲いたな」 「本当ですね」 こんな会話も、 もう出来ないと思うと、 卒業したくないという気持ちが、 込み上げてくる。 でも、 それと同時に、 解放感も感じる。 やっと言うことができる。 先生に伝えることができる。