僕は湊さんに近づいた。


「もう大丈夫ですからね。湊さん」

「‥栗栖さん…っ」

「‥痛かったですよね、直ぐに手当てをしないと」


僕はこんな状況で震えている湊さんを可愛いと思ってしまった。


「蒼空、アイツらどうする?」

「…まず‥謝罪させましょう」

「ん」


大馳は沁司君の元へ行き「謝れ」と仁王立ちで言っていた。

沁司君は「殴らないのか‥?」と弱々しい声で言っていたが僕も大馳も何も言わなかった。


「…湊」

「‥沁司君」

「すいませんでした!!!」


沁司君は頭を下げた。

僕も大馳も許す気などなかった。

だけど湊さんはそんな沁司君を抱きしめた。


「姫羅っ!?」

大馳が不安そうな顔をした。


「湊‥?」

「大丈夫…私ね‥知ってたよ」


湊さんのこの言葉に沁司君の表情が絶望と悲しみの色に変わった。