君に出会った奇跡

あれからさらに三週間がたった。ひとつ隣の県に移り住み、俺は、胸にあるつっかえの名前を知らないで生きている。





彩はまだ目を覚まさない。






炎龍には、なにも告げずに出てきた。





ただひとつ、「ありがとう」と書かれた手紙を残して。








彩を助けてくれて「ありがとう」





俺らに居場所をくれて「ありがとう」







たくさんの笑顔を「ありがとう」







人の温かさを「ありがとう」






「ありがとう」は感謝の気持ち。







なぜ炎龍と離れたか、それは。