星の哀歌

「……ふふっ……あはっ!
あはははは! 好きな人をかばって切られるなんて古典的すぎぃ!
まさかギャグのつもり? さむぅい! ねぇ、お兄ちゃん!」

まずは山内を切ろうとしたけど、お兄ちゃんが飛び出してきた

お兄ちゃんの胸からお腹に大きな切り込みが入った

血を分けたアタシのお兄ちゃんが血を流している

「そうだ、もっと血を出してよ! 全部出しなよ!
あんたなんかと同じ血が流れているかと思うとゾッとするんだ!」

反撃なんかさせる隙もないくらいにめちゃくちゃに切りつけてみても、お兄ちゃんはどかない

山内をかばおうとしている

「あははははは! なにそれ、必死すぎて笑える!
どうせ二人とも殺すのに!」

お兄ちゃんはついに倒れた

刺してはいないから致命傷は負っていないと思うけど、失血死するのは目に見えている

「嫌だ……! しっかりしてください……っ」

山内がお兄ちゃんにすがりつく

アタシはその嘆き悲しむ様をじっくり見てみることにした

「……にげ……て……ください……」

お兄ちゃんが息も絶え絶えに山内にいう

山内はお兄ちゃんの血で汚れながら激しくかぶりを振った

「嫌だ! もう一人は嫌だ!
君まで失ってしまうなら僕も死ぬ!
あゆちゃん、僕もさっさと殺せばいい!
一番憎い僕を、早く殺してくれ!!」