流産だった


「絶対に……光星の子だったのに……」

悔しくて、悲しくて涙が止まらなかった

救急車を呼んだせいで警察にも事がバレてしまった

流産の傷が癒えたあと鑑別所に送られたけど、アタシはたいした罪にならなかったからすぐに出てこられた

学校を退学になってやることもないから遊び歩いていた

家にはいづらくなってあまり帰らなくなった

お兄ちゃんは家を出た

どこに住んでいるのか知らない

お父さんとお母さんともあまり口をきかなくなった



その日、アタシは人混みを避けて猥雑とした狭い道をぼんやりと歩いていた

ドン!

「きゃっ!」

曲がり角で人にぶつかって転びそうになる

ギュッ

その人はアタシの腕を掴んでくれた