“襲われた”

それって――

アタシが裕太にされたことを思い出す

身も心も蹂躙されるあの恐怖と屈辱

そして絶望感に、胸が苦しくなる

まさか男の山内さんがアタシと同じ体験をしていたなんて

にわかには信じられなくて、自分の目をうたがう

だけど手紙には、奥さんだけならず山内さんまで被害にあっている旨が記されている

山内さんが去り際に言いかけた言葉を思い出す

あれは、「僕が殺した」と言おうとしのかな?

山内さんの奥さんは、救いの言葉を待っていた

でも山内さん自身も絶望していたんだから、奥さんを励ませる余裕もなかったのかもしれない

もしかしたら奥さんを救えない自分にも絶望していたかもしれない

これを読んだときの美紀の気持ちを考えると心が痛い。死を選んでしまうほど辛かったんだね……