桜を一頻り眺めていた。

桜を見ると瑠璃を思い出す。
瑠璃は泣いていないだろうか?

わしもすっかり瑠璃の魅力に嵌ってしまったんじゃな。

そんなことを思っていると不意に後ろから誰かに抱きしめられたような気がした。

―――・・・あなたの傍に行きたい。

瑠璃の声がしたような気がして振り向いた。

「だれも、おらぬ?」

振り向いたら誰もいなく、抱きしめられていたような感覚も消えた。

気のせいか?


いいや。
瑠璃の気配と残り香がする。

夢か?
夢でもかまわぬ。

「いますぐ、瑠璃に逢いたいのう。」

桜を見上げ呟く。