占いなんて信じちゃいない。


そんな彼が、街の片隅に構えた占い館を訪れたのには、

ちょっとしたいきさつがあった。




3年前に彼は女と別れた。

原因は女の浮気だ。

3年たった今でも彼は女の事を引きずっていた。




そんな彼に、見合い話が来た。


見合いの相手は、

実際に会うと写真で見るよりずっと素朴な女性であったが、

屈託のない笑顔が可愛らしい女性だった。


向こうの方も、彼を気に入ったらしく、

見合いはとんとん拍子に進んでいった。





そして、明日、彼は結婚する。



今日は結婚の前祝いに友人たちと飲んだ。


明日の朝が早いからと早々に切り上げて、

駅に向かう道すがら、例の占い館を見つけたのだ。


古い五階建てのビルの地下に占い館はあった。

古いブリキの看板に、

『占い館~クイヌキヤ~』

と書いてある。



変わった名前だ。