死神に勝てるなんて思うはずねえだろ。あんなの見たの初めてだったし、生きてた時だって殴り合いのケンカもした事なかった。
でも、祐介だけは助けなきゃいけないと思った。まだ子供なのに死んじまって、その上悪霊になるなんて最悪じゃねえか。
「もしお前が悪霊になったら、お前は自分の手で大切な者を傷付けるんだぞ!」
「……!」
零の強い声に体が震える。
「…ごめん」
達也が小さくそれだけを呟くと、零は呆れたように深いため息を吐いた。
「しばらく仕事を休め」
そして零の気配が部屋から消え、達也は一人残された。
一人残された達也はしばらく天井を見つめ続ける。
霊になると涙も出ないのか。