「……無断外泊、しちゃった。」
ぽつり、そう呟いた華梨は、自嘲するように小さく笑みをもらす。
「巻き込んでごめんなさい、憐。」
…―――謝る必要なんて、どこにも無いのに。
一体華梨は、何に対して謝っているのか。
「謝らないで、華梨。別に何も、悪いことはしてないだろ。」
とにもかくにも、俺に対して謝る必要は、何ひとつ無いんだ。
だからそう言って華梨の頬に触れれば、その俺の手に華梨は自分の手を重ねた。
「でも、憐……」
「何?」
「きっと…、いえ絶対、余計にパパを怒らせてしまったわ。」
「うん。」
「うんじゃないわよ。あたしだけじゃなく、憐もパパに…」
そこまで言って、華梨はぎゅっと唇を噛み締める。
俺も華梨の父親に家に閉じ込められるとか?
そんなの、滑稽すぎて笑えない。