「そんなの……」
「俺は、いつもの偽ってるきみなんて知らない。
今みたいに泣いてるのしか知らないんだ。
初対面だし、名前も知らない状況でこんなこと言うのも変だけど、何も知らないからこそ、力になれることだってあるよ。」
「………、」
「さっきも言っただろ。
泣きたいときには泣けばいい。
笑いたいときに、思い切り笑えばいい。
そうやって生きれる場所がないのなら、せめて俺の前では、自分に嘘をつかずに生きて。」
*
最近、華梨の様子がおかしいと思ってたのは確かだった。
恵との一件がそうさせているのかと思っていたけれど、どうやら原因はそれだけではないらしい。
「憐…っ!」
とても激しい、雨だった。
それ以外はまったく、いつもと変わらない1日だったのに。
一人暮らしをしている俺の家、…といっても、母子家庭であるため、母さんは働きに出ててほとんど家に居ないだけなのだけど。
インターホンの向こう、映ったのはさっき別れたはずの華梨の姿だった。
